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意外と知らない!?Web制作に携わる人なら知っておきたい著作権について

「東京タワーの写真は著作権ってどうなの?使っていいの?」

 

こんなクライアントからの質問なら、Web制作会社のディレクターやデザイナーの方なら一度や二度聞かれることは多いのではないでしょうか?

 

でも、あなたは即答できますか?

 

意外と著作権については明確に知らずに制作していたりするディレクターやデザイナーも多いと思います。ディレクターやデザイナーの方なら知ってほしい最低限の著作権についてまとめました。

 

著作権とは

著作権とは、知的財産権の一つです。日本の著作権は「無方式主義」と呼ばれる方式で、制作物を制作すると自動的に著作権が発生します。この時、著作者人格権と著作権(著作財産権)に分かれます。

●著作人格権
簡単に言えば「制作者」。公表の時の手段や方法を決定できる権利です。法律上、制作者の同意がなければ公表できません。

●著作権(著作財産権)
Webサイトの制作物に対する権利です。

写真の著作権

 写真に関する権利は様々な権利が存在します。

1)被写体の肖像権

被写体が人である場合には、被写体の肖像権が問題となることがあります。肖像権とは、判例上認められてきたもので、事前の許諾等を得ることなく自己の肖像を撮影されない権利をいいます。これは、主に個人のプライバシー保護を目的としたものです。

2)パブリシティ権

被写体が、芸能人であるなど、その肖像に経済的価値がある人の場合には、さらに、パブリシティ権が問題となります。パブリシティ権は、芸能人などの肖像 は、広告などに利用されることにより顧客吸引力を有する点で一般私人とは異なる経済的価値を持つことに着目したものであり、判例上認められています。

3)被写体の著作権

著作権法上、著作物として保護を受けるものは、思想感情を創作的に表現したものであるとされています(著作権法2条1項1号参照)。そこで、被写体がこれにあたる場合には、被写体自体に著作権が認められます。例えば、被写体が絵画である場合などは、その写真を利用するにあたってその絵画自体の著作権が問題となります。これに対し、被写体が富士山などである場合、被写体自体は誰かによって創作されたものではないため、被写体の著作権は問題となりません。

4)写真の著作権

著作権法上、被写体を撮影した写真は、被写体とは別個に著作物としての保護を受けます(著作権法10条8号)。この場合、写真を撮影した者が著作者となります。ただし、写真にも、さまざまなものがあり、アングルの工夫など写真そのものに創作性が認められない場合には、著作物として保護の対象にはなりません。そこで、例えば被写体をそのまま平面的に写し取っただけの写真や証明写真などには著作権が認められにくいといえます。

Webサイトのレイアウトと配色

 著作権の定義として、「著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」とあり、レイアウトは「“創作的に表現”」したものではなく「アイディア、手法」と解釈されます。レイアウトを真似しても著作権では問題ありません。同様に配色を真似しても問題ありません。ただし、CI(コーポレート・アイデンティティ)の観点から競合他社の「著名表示の不正行為」にあたる可能性は少なからずあるので、インスパイヤー程度で留めておくことが懸命です。

有名な建造物をデザインに使用、またはトレースを行う場合

例えば、スカイツリーなど有名な建造物をデザインに使用したり、トレースを行うのは可能です。これは著作権法で、


美術の著作物でその原作品が前条第二項に規定する屋外の場所に恒常的に設置されているもの又は建築の著作物は、次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。(著作権法 第四十六条)

 

ここでの「前条第二項に規定する屋外」とは、街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所を示します。すなわちスカイツリー以外にも、彫刻や絵画でも恒常的に設置される建物や展示物に関して、それを使用してデザインを行うことができます。

ただし、その建物が販売されている場合や、一時的な屋外のイベント、展示の場合はこれに当てはまりませんので、気を付ける必要があります。

写真を元にトレースし、イラストを制作する場合があると思います。著作権が発生している写真をイラスト化すると、複製行為にあたり、「複製権」侵害になります。

写真を元にトレースする場合は、自分で撮影した写真、または著作権が消滅している写真を利用する必要があります。